たほ日記

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鬼滅の刃の感想

※一応ネタバレ注意ということで。

 

近ごろ上司が私のことを「〇〇少年」と呼んできていて、まあ私は少女っていうよりかは少年って感じだよな…と自分で勝手に解釈しつつ流していたら、これの元ネタが鬼滅の刃であることが最近やっとわかった。煉獄さんが「竈門少年!」って呼ぶアレ。

 

漫画未読、アニメ未視聴で「劇場版鬼滅の刃 無限列車編」を鑑賞した。

厳密にいうと、アニメは1話のみアマゾンプライムで観たのだが続かなかった。「暗いな。」と思って。加えて、1話の冨岡義勇が炭治郎の戦術をずーっっと細かく説明しているシーンに辟易してしまったのもある。死語かもしれないが「説明乙」という言葉が浮かんだ。

ただ、この過剰に説明するのも徹底すればそれは「わかりやすさ」というものに直結し、ひいては劇場版の大ヒットを生み出している。原作のことをあんまり知らなくても、誰でもストーリーは理解できてしまうのだ。

だから、インスタントに感動はできる。偉そうに語っている私も終盤泣いた。(泣いたシーンについては後述する)クライマックスの煉獄さんのお説教シーンは音楽も相まって非常に感動的だった。

それでも、私が手放しに「すげえ良かった!!」とも正直ならなかったのは2つポイントがある。

①キャラクター萌えがしにくい ②腑に落ちないストーリー

まず、①は単にキャラクターや原作に対する知識・理解不足で、完全に私の落ち度に起因する。はっきり言って、あの劇場版を観ただけでは私にとって煉獄さんは「登場したはいいもののすぐ死んだ人」になってしまい、CV.日野聡という素晴らしい恩寵も最大限に甘受できないままになってしまった。

そして、尺の問題があるから当然のこと、活躍するキャラクターは実質3人といった感じで、それ以外のキャラのサービスシーンはほぼ皆無という印象だった。たとえば、善逸の大ファンとかはあれをどういう気持ちで観ていたのだろうとは思う。原作もそういう話だからと言われればそれまでなのだが、死にかけの夢が「(一人ずつ)あいつもすごかった…」と振り返るシーンを用意するくらいなら、もっとそれぞれを活躍させてやれよと思ってしまう。

②については原作にケチをつけるようでもっと悪質な感想なのだが、煉獄さんがあんな必死に戦った猗窩座が死なないで逃げたのがめちゃくちゃモヤモヤしてしまった。

あそこで煉獄さんないしは鬼殺隊の誰かがにスパッととどめを刺してくれて無事に退治!となったほうが明らかにスカッとする。まあ、そういうところでスカッとジャパン的な感動ポルノに成り下がらない点が、かえってストーリーの芯を強く仕上げているのかもしれない。っていうかそもそも、原作の途中を切り取った映画なのだから、何をどう言おうとそういう物語なのだ。わかる。わかるんだよ、わかるんだけど!!それで「千と千尋の神隠し」超えちゃうの!?とは思ってしまった。

(自分で書いてて、自分の感想が「老いているな」と感じる。)

 

これで終わらせたら過激な鬼滅キッズに卵を投げつけられるかもしれないので、良かった点も書く。まず、キャスト陣が骨太で、声優大好きおばさんな私は大喜びしてしまった。最近、アプリゲームやシチュエーションCD界隈でもどんどん若い声優が登場して、ついてこれなくなってしまった私にとっては、非常にうれしい要素だった。特に魘夢なんかは、平川大輔の声前提に作られたキャラクターとしか思えなかった。

そして何より、炭治郎の主人公像に心打たれた。話が逸れるようだが…この前、田嶋陽子先生がテレビで「鬼滅の刃」について「家族というものに思い悩む若い人たちにとっては大いに結構だろうが、私みたいに家族問題の解決策を自分なりに見つけた人間にはそこまで響かない」というような趣旨の感想を述べられていて、それでいうと私は後者に当てはまり、竈門一家をはじめとしたそれぞれの家庭観や澄み渡る家族愛に打ちひしがれることはなかった。(それでも、炭治郎の「俺の家族がそんなこと言うわけないだろー!」というセリフは、当たり前ながらにも新鮮に感じた)

私が泣いたというのも、煉獄さんの殉死に面する炭治郎が、「一つなにかできるようになったと思ったら、更に大きな壁があらわれる…(記憶曖昧)」といったことを言っていた点で、ここでやっと私は初めて鬼滅の刃で共感というものを感じた。同時に、こんなに心がきれいなのに家族が惨殺されてしまったことが改めて不憫になってしまい、更に涙を誘った。「鬼滅の刃」は私にとって、一歩間違えればかわいそうで見てられない話になりかねないくらいだ。そして、キメツって主人公が心優しくて、他人を倒して強くなる!みたいな感じじゃないのがいいよね、って思う中高生が多くいることは心強いし、雑だが「令和だな~」と思う。

 

劇場版を観て、じゃあアニメも全部振り返ってみよう、漫画も読もう!と思ったかと聞かれると、「そこまででは~」というのが正直な感想ではあるが、観ないまま生き残れる世の中でもなさそうなので、そういう面では観てよかったし、いろいろな人の見解が見聞きできるのは大変面白い。あと、地味に「○○少年」の元ネタが分かったのもよかった。これからもそういう世間一般の小ネタには反応できる大人でありたい。