たほ日記

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婚約雑感

プロポーズされたら、まず真っ先にtwitterに書くと思っていた。婚約指輪、顔は隠すものの優しげな雰囲気は伝わるような彼とのツーショット、指輪と一緒にもらった手紙。そのすべての写真とともに「えへへ婚約しちゃいました♡」としれっと投稿すると思っていた。

でも、いざとなるとそのどれも発信する気になれなかった。実感がすぐに湧いてこなかったというのもあるし、意外にも「プロポーズされた!イエーイ!」というウキウキした気分が持ち上がらなかったのもある。まじめな話、あれはSNS向きでない、非常に深い感動が私の心を占めた瞬間だった。

 

そもそもプロポーズ自体も唐突で、まさかの彼の誕生日に指輪を受け取った。(彼は友達から「お前自分大好きだなw」とからかわれたらしい)普通こういうのって私の誕生日とかじゃないの?と思ったが、私に「そろそろかな」としたり顔で待ち構えられるのが嫌で先手を切ったとのこと。

別にいいじゃんね、したり顔で待ってても。と思うが、そういう人なのだ。というか、そういえば付き合うことになったときも、何の前触れもなくいきなり「付き合ってほしい」と言われ、回答を持ち帰らせてもらうこともできず、その場で付き合うことを決めたことを思い出した。その妙なせっかちさには、日ごろ何かと察しが良い私もいつも驚かせてもらっている。去年のクリスマスも驚かされることがあったし、彼はこれまで出会ってきた男性のなかでも、段違いでサプライズが上手い人間だといえる。

泣きそうで意外と泣かないと評判の私ですが、手元に婚約指輪の光が点ったときにはさすがに涙がほろり。(相手も泣いてたけどね)指輪は私が雑談レベルで「あこがれるわ~」と言っていたブランドのもので、かなり高額だっただろうという現実的な点はもちろん、そのブランドを記憶していていてくれたことも感動的だった。普段は私が何回同じ話をしても新鮮な反応を返してくれるくらい、私の話をあんまり聞いていない男性が、である…。

 

ところで私は乙女ゲームが好きで、プロポーズは山ほど疑似体験している。ダントツお気に入り「AMNESIA LATER」のトーマルートのプロポーズシーンなんて今でもセリフを暗唱できるくらい何回もプレイした。現実の男とうまくいかなくなったら、必ず再生するお気に入りのシーンだ。CV.日野聡で「だからさ、俺の奥さんになってよ。」「お前の返事は?」ってね!??くぅ~~~~~~~;;;そして結婚式でぜったい流したいBGM、「たったひとりへの恋心」…。(今なんとなくyoutubeで流したら死んだ。)

BGMはさておき、実際に私が言われた言葉は、どのルートの追体験では無かったし(当たり前か)、特殊な演出も無かったのだが(当たり前か)、なんなら「ほな、結婚しよか」くらいのテンション感だったが、やっぱり特別な瞬間だった。

それからしばらくは毎晩婚約指輪を指に嵌めては小一時間眺めてはほくほく顔になったり、売りに出されている都内のマンションの間取りをネットで検索したりなどして、少しずつ花嫁テンションの下ごしらえをする日々だった。

 

ようやく、友人たちにちょこちょこ報告し始めたのも、一応自分の家族に報告して、関西に住む相手の家族にも会って…となんとなくひと段落ついた後だ。「おめでとう」とみんな祝福してくれて、花束を貰ったり、いいこと尽くしである。でも、面白いことに嫌味を言ってくる人(だいたい既婚者)もちゃっかりいたりして、人生の新しい深みのタームに入ったな…と武者震いする瞬間もある。結婚の真価くらい、自分の経験から判断させてほしいと思うものだが、少なくとも一筋縄でいかないということは周囲を見ても明らかである。私にもいつか、結婚が決まった若い女性に嫌味を言う瞬間が訪れるのだろうか。理想と現実は違うからね、なんて言ってしまうのだろうか。

しかし、私は漠然と結婚願望は持っていたものの、結婚自体に良いイメージを持っているのかと聞かれたら「?」状態で、自分が育った家庭のことを振り返っても、あんまり家庭を作ることに憧れを持っているとは言えなかった人間だ。もとから、強い理想も持ち合わせていないし、経済的には自立できていると思うので、必要性も無いといえば無かった。

そんな私がじゃあ実際に結婚しましょうね、という気持ちに至ったのはシンプルにいえば相手がその人だったから、という月並みな言葉に落ち着いてしまうのだが、人柄と同時に相手が結婚に対して前向きで、積極的に舵を切ってくれたのも大きい。今まで自分のケツは自分で拭くんですよ、みたいな環境で常に自己責任と隣り合わせで突き進んできた人生だったから、人が何かを一緒に進めてくれる心地よさを初めて知ったのだ。

今のハッピーなうちに何か偉そうなことが言えるとすれば、「結婚するの?しないの?」とこちらが詰め寄らなくていけない状態を作り出す男とは結婚しないほうがいいということだ。そういうやつは、自分の好きなことしか決めないと思う。

 

さて、これから新居をどうするのだの結婚式をどうするのだの決めなくてはならないのだが、いかんせんこのコロナ蔓延状態ではどうも進行が難しい。今は何か新しいことを決める段階ではない、それは誰にとっても当てはまるだろう。

そんな中でも、結婚しようと自然に決められたことは大変心強いことなんだとは思う。所感としては、この気持ちは大切に、これからも地に足のついた生活を維持していきたいと思っている。悲しいことに人生は結構長く、途中で何かが破綻してしまうときが訪れるかもしれないが、それはそれで仕方ない。そう軽く思えるくらいには、とりあえず今とても満足してる。