たほ日記

生活一般、読書、美容、恋愛など

私の化粧と顔についての話

今まで取り立てて発信していなかったことなのだが、実は私は化粧品が好きで、結構詳しい。

好きであるということと、職業的にコスメブランドは色々知って居た方が良いということもあって、「どこどこのアレ」と言われたらその化粧品の商品ビジュアルと色のラインナップはだいたい思い浮かぶ。友人が使っている化粧品などは、何気に凝視していたりする。

私が興味を持ち出したのは、本格的に化粧をするようになった大学生くらいからであるが、当時から年齢のわりには化粧品になかなかの額を費やしていたように思う。頑張ってシャネルやディオールも積極的に購入していた。

カメラロールに入っている自分の最古の写真は2013年(大学生)なのだが、かなりしっかりとした化粧を施している。ていうか濃い。デビューして間もない頃の「シド」のマオにそっくり。恥ずかしいと思うと同時に、可愛くなろうと日々頑張っていた自分を抱きしめたくなる。(今も含めて)試行錯誤の毎日は続いているのだ。

私の顔の要素をざっと挙げると、輪郭は卵型、色白、目は二重で大きめ、鼻は高いが丸め、口のサイズは普通で色素ほぼ無し。これだけ文字に起こすとなんだか無難な美女っぽいのだが、いざ実物を見るとおでんの具にありそうなほくほく顔で、なーんか野暮ったい。学生の私は日々化粧をしながら随分とこの謎のギャップ(要素と実情)を埋めようと努力しており、大学3年生のある日、結構すごい出来事が起こった。

 

忘れもしない秋の昼下がり、大井町駅。私は東急大井町線から京浜東北線に乗り換えようとしていた。大井町線のホームを一人でとぼとぼと歩いていると、後ろから男性に声を掛けられた。昼間からナンパされたのである。相手の顔もろくに見ないまま無視したら食い下がって来たので、はっきりと無言で拒絶のポーズをしたのだが、それでも全く引く様子がない。色々と捲し立てられ、相当しつこかったのを記憶している。そこで私は、(もうどうにでもなれ)と「あの!!僕、男なんです!!!」と低めの声で言ってみた。その時の私は赤みブラウンのアイシャドウに青みピンクのチーク、服装は全身MILKのフリフリだったのでそれを逆手に取り、加えて当時福山潤の声マネを練習していた(理由は別稿に譲る)ので、これを駆使して演出してみた。オタク女の超イタタエピソードである。(今でこそ笑いながら話せるが、それまでは思い出す度に足をジタバタさせていた)

当然ながら相手は「!?」という顔をし、その後すぐに「マジでキモすぎ」と捨て台詞を吐いて去っていった。マジでキモすぎはさすがにちょっとショックだったが、目論見通りにいったという意味ではこれで良かったのだと私は安堵した。

しかし、この様子をしっかり見ている人間がいた。私が京浜東北線のホームに到着し、列に並んで電車を待っていると、また後ろから声を掛けられた。今度は女性である。振り返ると、ニキビ面で肥満体型の女性。私は本能的に(なんかマズいことになったな)と悟った。女性は終始テンパった様子で「さっきのやりとり見てたよ」「男の子なんだってね」「事務所どこなの?」「●●(当時ちょっとだけテレビに出てたクソマイナーな俳優)って知ってる?繋がりある?」などと尋ねてきた。私は彼女の質問にどれ一つとして答えることができなかったが、見るべきは“彼女は私が男であることに確信を抱いてしまっている”という事実であった。めっちゃショックだった。

この出来事によって、私は自分の顔がどうやら男っぽいらしいということに気づいたのである。趣味や服装の好みからして完全にフェミニンな自分を信じて疑っていなかったのだが、「顔」という最大のファクターで自己疎外するという意味不明の事態に陥っていたのだ。そういえばロンドンハーツの企画で女装したはんにゃの金田とたほが激似って友人たちが騒いでいたこともあった。私は自分の顔をわりと長い間見誤っていたのだ。

 

そこから、私は化粧を見直し、元来の顔立ちと内面をすり合わせるには、「他人から見れば所詮おカマっぽいフェミニン」から離れたソフトな化粧が必要だという結論に至った。その後就活なども経て、徐々に化粧は自然になってゆき、今はあまり「顔が男っぽい」とは言われなくなった。

ちなみに、自然な化粧の最大のポイントは、薄づきの化粧品を選ぶことだ。@cosmeなんかで「発色が神!」なんて書かれているものはマイナス要素として参考にする。

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現在使用しているコスメ一式。色物は基本的にCHICCAでしか買わないことにしてる。

最近はブルベイエベなんて言葉も頻繁に聞くようになった。自慢じゃないが私は高校生のときからパーソナルカラーについては色々と勉強しており、2ちゃんねるのブルベスレに噛りついていた。(当時の化粧板は結構面白かった。今でも忘れられないのは「小沢一郎の使用コスメを特定するスレ」)

しかし肝心のパーソナルカラー診断には行ったことが無い。見た感じとりあえずブルベで間違いなさそうなのだが、確証は無い。さっさと行ってスッキリしたいのだが、今さらイエベですって言われて全てを見直す羽目になるのも怖い…。

美容誌を読むと、本当に様々なメイクの提案に満ち溢れている。抜け感メイクに小顔メイク、モテメイクや温感メイクなど数え切れないほどあるが、化粧というのは最後は誰のためでもなく自分のためでしかないから需要があり続けるのだと思う。実際、ある日ブラウンアイシャドウの色みを変えたところで誰が気づくってんだ、という程度のものなのだし。

この理論でいえば、図らずも男に内定してしまった大学生の私も自分のためのメイクを楽しんでいたのだから良いじゃん、ってなるのだが、やっぱりそれでも物事には限度があるよねって話である。