たほ日記

生活一般、読書、美容、恋愛など

断ることや逃げることに関する雑記

東京メトロ丸の内線に乗っていたら、車内ビジョンで若者の薬物乱用防止を啓発する動画が流れており、ぼんやりと見ていた。

薬物を勧められたときに上手く逃げるコツは二つあるらしい。一つは、「はっきりと断ること」もう一つは「その場を立ち去ること」だ。なるほど、と思った。むしろそれ以外の方法が思いつかないくらいだ。

以前観た「IPPONグランプリ」の大喜利で「口臭の酷い彼氏に気づかせる方法は?」というお題で、有吉弘行氏が「言う」って回答して爆笑したことを思い出した。これも聞いた途端それ以外の方法が思いつかなくなる例だ。嫌なことや危険な場面を回避する方法は、案外シンプルなのかもしれない。

 

②医療脱毛のVIOが痛いという話は、これまで何人の女がブログで語ってきたことだろう。それでも私は言いたい。本当に痛かった。今までのどんな痛みよりも痛かったんじゃないかと思う。私は痛みに強いタイプだとずっと自負していたし、これも少しは本当なのだろう。ただ、そんな私でも麻酔を要求した。麻酔しても普通に痛かったから、コスパの面で今後麻酔はしないと決めた。どちらにせよ苦行の時であることには変わらない。

これで泣いちゃう女の子が絶対に居る気がして、施術する看護師に「泣いちゃう人いますよねこれ!?」と熱く問いかけたら笑って誤魔化された。患者のプライベートについては言及できないマニュアルでもあるのだろうか。下半身を露出しながら問いかける女を放置しないで欲しかった。

VIOの医療脱毛は本当に痛く辛い。逃げ出したくなった。「はっきり断ること」も「その場を立ち去ること」もできた場面だったと振り返る。でも当然それはできなかった。私はこれに代金を支払っているし、綺麗になりたいという欲望が勝ったからだ。

 

③ある平日の夜遅い時間に、治安が悪いことで有名な某駅へ向かっていた。ダンボールを敷いて寝転ぶホームレスたちを横目に地下へ降りていくと、だんだんと男の低く唸るような声が聞こえてきた。歩みを進めると、改札付近で男が女の両肩を掴み、必死で訴える様子が視界に入ってきた。

「俺があなたを女にしてやるよ」

そう彼は繰り返していた。女は女で「私に今までそんな経験は一切なくて」と迷惑そうに繰り返していた。二人とも容姿は醜く、私の親くらいの年齢だった。私はその会話が耳に入って来ることから逃げるために小走りで改札を抜け、その場を去ったが、一瞬しか見ていなかったはずのあの光景が脳裏に焼き付いている。

女はあの男に女にされるのが嫌だったら、「はっきり断る」か「その場を立ち去る」かすれば良かったのだ。人の多い駅構内、暴力の心配もないだろう。それでも逃げない誘惑が彼女にとってもあったのだろう。

 

④付き合っている相手の元カノ話を容認できるか問題。私は容認できない。より厳密に言うと、昔は全く容認できたが徐々にできなくなってきた。私自身に余裕ができなくなったのか?という焦りがあるが、最近は容認できないほうが普通なのでは?というように思うようになってきた。相手がそういう話をしたそうな素ぶりを見せてきたら、はっきり断ってやればいい。それでも無理に話してきたらその場を立ち去ってやればいい。頭ではそう考えているが、いざとなると硬直してどちらもできないことがある。妙な好奇心が走って、「何か小説のような良い小噺が聞けるかもしれない」と期待してしまうことがあるからだ。我ながら非常に矛盾していると思う。

 

こうざっと書いてみると、果たして最後は断ることや逃げることというのはそう簡単ではないように思えてくる。実践法は数えるほどしかないのだが、そこに至るまでの感情の道筋が無限にある。世の中そこまでシンプルであれば、①最初から薬物に手を出す若者だっていないし、②ムダ毛は放置すればいいし、③女になれない女はとっくに自然界で淘汰されているはずだ。そうじゃないから人は④のような他人の目からはどうでも良いような問題に頭を悩ませる。こういうことを考えているときの酒が美味いのもまた不思議だ。