たほ日記

生活一般、読書、美容、恋愛など

新婚雑感

先日夫の高校の卒業アルバムを見る機会があったのだが、なんと高校生時代の彼は茶髪ロン毛にピチピチTシャツ、加えて白クロックスというなかなかのヤンチャスタイルだった。「昔こんなファッションが好きだった」みたいな話も特に聞いたことがなかった分、度肝を抜かれた。

私が知り合ったときには既に菊池亜希子のファンで、「リンネル」(ふわっと優しい暮らし&おしゃれマガジン)を愛読していて、スイーツ好きなふんわりした男性だったので、そのギャップにも困惑した。どのタイミングで、彼は白クロックスからマリメッコの食器にときめくように心がシフトしたのか…。

もし学生時代に彼と知り合っていたら、付き合うなんてまず(見た目の時点では)考えない相手だった。しかし、逆に彼にしてみても、私がロリータファッションに心酔して、ライブ会場で頭を振っていたころは絶対に親しくなろうとは思わなかったであろうことは確かだ。

ちょっと前まで水と油のように全く交わることのないコミュニティに属している人間同士が結婚することになったのだと考えると、本当に人生何が起こるかわからない。

ただし、一つ書いておきたいのは、私はのちに彼が転身する「ふわっと優しい暮らし&おしゃれ」男子が特に好みであるわけではない。私は「寝るときにはちゃんとした綿のパジャマを…」なんて言われても全くピンとこないような人間なので…。

そればかりか、共通する趣味もよく考えたら一つもない。よーーーーく考えても、お互いに飲酒が好き、くらいしかない。朝早くに起こされて「今からお弁当作ってハイキングに行こ♪」と言われたときには悲鳴をあげるし、街中を歩いていて、「これ○○(昔やってたトレンディドラマ)のあのシーンのやつやんな!」とか言われてもそんなもん観たことないわ!と毎回悪態をつくことになる。それでも、なぜか結婚するならこの人だな、というのは確信したのであった。

それまで私は幸い一人でも生きていける算段が取れていたので、まず結婚というもの自体をするかどうかを悩んでいたし、薄々恋愛が好きじゃないということに気づいてきていたので、結婚を前提にしないなら誰とも付き合いたくなかった。

結婚相手に求める条件、なんていうのもよく聞かれたものだけど、明確なものは何一つなかった。これは「そんな私でも素敵な人と出会えて結婚できました!ミャハ☆」みたいな話ではなく、周りはどうだったのかと真剣に聞いて回りたいくらいの事柄である。

話が少し逸れるようだが、とある私の女友達は、全国知らない人はいないであろう大学を出ている。現在婚活アプリを使っているのだが、最近プロフィールに出身大学を記載した瞬間、「いいね」を貰える数が格段に減ったらしい。「出身大学で引いちゃうような男、こっちから願い下げだよねー!」なんて話していたが、いいねを控えた彼らは、ある意味結婚相手に求める条件がはっきりしている人種なのかもしれない。私は配偶者は頭がいい(勉強ができる)に越したことはないと思うのだが、そうはいかないのだろう。

その点、私の夫は人の学歴をいちいち気にしたりはしないタイプなのでいいよなあ、なんて考えていたら、私はもしかして「減点方式」で男性を評価しており、夫はたまたま落ち度が少ないから結婚したのでは?という大変失礼極まりない仮説が生まれてしまう。もし彼の親御さんがこのブログを見ていたら、シバき回されるに違いない。

でも、まじめな話、これはこれで重要な着眼点だと我ながら思う。だって、当たり前の話だが「顔がすき!」や「収入が高い!」と一点豪華で相手を愛してしまうと、それが何かで衰えたり失われてしまったときに取り返しのつかないことになる。「私のことをこれだけ愛してくれているから好き」というのも危険だ。浮気されたときに精神が破綻する。

そういう意味では夫は私にとってかなり強力な「バランサー」であり、どの分野とってもわりと好き、という点で結婚したいと考えたのだと思う。そして、ほぼ間違いなく彼も私に対して同じ評価をしている。趣味で女性ファッション誌を読み、素敵なミッドセンチュリーのインテリアに心ときめかせ、カフェラテを飲み、好きなタイプは多部未華子。私みたいな元ゴスロリのせいでファッションセンスがバグっていて、蒙古タンメンばっかり食べていて、バラエティ番組では下ネタの部分だけ笑っちゃったりする、泣く子も黙る大味な顔の女。普通に考えたら好きなわけない。でも、彼の価値基準のなかでは、奇跡的に減点もされていないのだと思う。

周囲の人に結婚報告をした際に、「お互いのどこが好きで結婚したの?」と毎回聞かれるのだが、お互いに曖昧な回答しかできない。(一緒にいて気が楽な点ですかね、みたいな)でもこれは照れ隠しもあるけど、本当のところでもあり、なにひとつ明確な繋がりがないのだ。

今はそのファジーさが私にとっては気楽なのだが、きっと今後もし子どもが出来たときには、これが初めての「明確な繋がり」になるのだと思う。そのときに初めて私たち夫婦は新しいフェーズに入ることになるのだろう。だからこそ真剣に考えなくてはいけない。やっぱり家族というのは重たい。