たほ日記

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「やって!TRY」と「きまぐれクック」

昨日、こんな記事がツイッターで少し話題になっていた。

toyokeizai.net

短時間で読める記事なので読んでもらうのが一番だが、内容をさらうとこんな感じ。↓

 

TBS系「噂の!東京マガジン」という番組に「平成の常識・やって!TRY」というコーナーがある。平成生まれと見られる若い女性を屋外の簡易キッチンに呼び出し、レシピなしで指定のメニューをその場で料理してもらう企画だ。メニューは、「クラムチャウダー」や「カツレツ」「エビチリ」などといった、一度は食べたことがあるが、いざ作れと言われると戸惑ってしまうような絶妙なチョイス。何人かの女性にチャレンジしてもらい、なかでも「面白かった」料理の過程がオンエアとなる。

しかし、この手の企画となると「面白い」とは当然、常識では考えにくいようなめちゃくちゃな料理をする、という意味だ。そしてそこには馴れ馴れしい男性のナレーションが入り、グロテスクな料理をしている女性に厳しいダメ出しをする。そして、コーナー終了後には出演者がその女性なのか料理なのかを一通り笑い(嗤い)、プロのシェフが出てきて正しい作り方を実演。出演者はその美味しい料理を実食し、舌鼓を打つ。

そして今回、このコーナーの構成が女性蔑視にあたるのではないかという物議が醸されているところから記事は始まり、著者は制作者に質問をし、制作者側からは「料理は楽しいものということを伝えたい」と回答を得る。悪意がないことはわかるが、平成も終わろうとしているこのご時世に、女性が違和感を感じるかような番組は見直されるべきではないのか。そう著者は投げかけている。(と、私は理解した。間違っていたら平謝り。)

 

なんだか要約?が長くなってしまった。ここからが私の感想。

まず、これを読んでいて私は徐々に居心地の悪い思いがした。なぜなら、私はこの番組をわりと頻繁に観ていて、このコーナーでクスクス笑っていたからだ。

もちろん、なかには明らかに食べ物を粗末に扱う女性もいて、好ましくない場面もある。見た目があまりにもグロテスクすぎて気分が悪くなったときもあった。(私の一番のトラウマは、「エビチリ」の回で料理を赤く仕上げるために食紅を大量に投下されて仕上がった臓物のようなエビチリ。)ただ基本的には面白く、「女性」をバカにしているといったニュアンスはあまり感じたことがなかった。「若さ」は少しバカにしているかもしれないが…。

記事でも取り上げてられているが、「鯖の味噌煮」回で27歳独身女性が元彼を思い出して涙ぐみながら料理している姿はかなり見応えがあった。「うえ〜寂しいよ〜」なんて言いながらサクサクと美味しそうな鯖の味噌煮が出来ていく様は、そこらへんのチープなドラマよりよっぽど文学を感じる映像だったと思う。私はこういうのがもっと観たい。

注文をつけるとすれば、ちゃんと料理を成功させた人も見せて欲しいといったところだろうか。同じ平成生まれとして、とても参考になりそうなので。

話が逸れかけたが、正直に言うとこれを「女性蔑視」「(笑っている)出演者のジジイどももやってみろ」なんて言うのは、ちょっぴりだけど不寛容さを感じざるを得なかった。だって「運動神経悪い芸人」とかあるじゃん、なんてね。同時に、私の気運に対する意識が相当遅れているないしは歪んでいるのではないかという焦りも、もちろん充分に感じている。

もし、真っ向から男性に「お前女なのに料理出来ないの!?」とか言われたらカチンと来るし、そんなのは相手にもしない。ただ、このコーナーはそこまでの強さはない。言いたいのは、こんなおじさん番組を槍玉に挙げるよりも、女性を貶めているメディアはいくらでも溢れているんじゃないかってこと。いやでも、千里の道も一歩からということで、まずは「やって!TRY」から淘汰されるべきなのだろうか。なんだか気難しい話である。

 

そして昨日は「行列のできる法律相談所」にYouTuberのきまぐれクックが出たということでこれまたツイッターで話題になっていた。きまぐれクックさんの動画は私も好きでよく観ているので見逃したのがちょっぴり惜しい。この人はいわゆる「料理系ユーチューバー」であり、毎度難解と見られる魚介類を見事に淡々と捌いてゆき、最後はそれをとっても美味しそうな料理に仕上げる。作業をしながら自分のことをベラベラと喋らないスタイルや、たまに出る三河弁も懐かしい感じがして好きだ。

そういえば「やって!TRY」で「私、魚捌く動画とかよく観てるんで!」って言っている女の子がいた。おそらくきまぐれクックだと思う。

動画のつくりなんかははっきり言って地味なのだが、エロや裏モノ、大規模な検証といった派手な企画を乱発するよりもよっぽど見応えがある。ここだけの話、バカみたいにデカいキングサーモンを捌いてお腹からいくらを取り出す動画は何回も観た。

そして彼は常に食材への敬意も忘れない振る舞いであり、観ていて安心する。「やって!TRY」は残念ながらそこを欠いているように思うが、意外とそこに対する批判はあまり見受けられない。「愛のエプロン」で散々それは叩いていたし、2019年の本質はそこじゃないのだろう。

いずれにしても、料理というのは生活に密着しながらも、一つ外へ飛び出せばこれだけ色々な人を巻き込む一つのエンタテイメントであることはよく分かるーそれがたとえ「噴飯もの」だったとしてもだ。

 

蛇足ながら、きまぐれクックさんがここまで人気なのは、彼が見た目普通の男性であるということが非常に大きく作用しているのではないかと個人的に思う。かわいい女性が怪魚をダイナミックに捌いていても、ちょっとした話題で済んでしまいそうである。

また、もし、社会の趨勢に合わせて「やって!TRY」がカップルで料理に挑戦する企画に変更となってしまったら相当つまらないものに成り下がるだろう。

つまり、「男だから」「女だから」面白いものは世の中いくらでもあるのであり、それは料理に限ったことでもない。そこの垣根を崩せば新しい風は吹くかもしれないが、まだまだ私にはピンと来ていないのが本音だ。