たほ日記

生活一般、読書、美容、恋愛など

BL談話

2月末のイベントでスペースを出すことになったので、またそれに向けた小説をそろそろ書き始めなくてはと考えている。ジャンルやカップリング、内容などは明記しないが、最近私はあることに戸惑っている。

年をとるにつれて、BLというものが全く分からなくなって来ているのだ。

たとえばツイッターのタイムラインに二次創作が流れて来て、節々に「萌える〜〜〜♡」と思う時があるにはあるのだが頻度としてはさほど多くないし、数年前のように自分からも何か泉のように溢れ出ては発信していくというエネルギーは随分と薄まっている。

昔の自分の創作物を引っ張り出しては、「ああ、こういうこと書きたかったんだろうな。わかるよ、お前これ書いてた頃この話しかしてなかったもんな。」と自分を理解こそすれど、今もう一度同じ性質のものを生み出せと言われたら相当難しい。文体はウェットで内容もサッドコア極まりない。こんな不健康が滲み出るようなもの、今は書けんぞ。一体当時の私は何がそんなに辛くて苦しくてこんな悲恋をオカズによろしくやっていたんだろう。今はもっと丸くなっているし、日々辛いこともあるが人を元気にできたら良いなとか考えるようになっている。私も随分と社会的になったものだ。

こういうことがあるから定期的にブログであれ小説であれ、まとまった文章を残しておくという作業はやめられない。

 

どんなコミュニティでも我々の世代なら一定程度盛り上がる(?)話題として、宇多田ヒカルの「DISTANCE」と「FINAL DISTANCE」どっちが好きか問題がある。私は圧倒的に前者だ。実は先に聴いたのはFINAL...のほうで、重厚な楽曲とあの先進的なPVとが相まって私は初めて聴いたときかなりの衝撃を受けた。心に刺さる名曲だと真面目に思った。ところがそれから暫く経った後、「DISTANCE」という元の曲があることを知った。聴いてみたら、「あ、こっちのほうが明るいけどどこか寂しい感じがして好きだな」と即こちらに軍配が上がったのであった。

「楽しいのに、幸せなのに、悲しい、あるいは寂しい。」という言葉が当てはまるものに私は今も昔もずっと惹かれている。それはそれこそ音楽でも、小説でも、絵画でも、シチュエーションでも何でも良い。ふと当てはまるものに出会ってしまうと、途端にぐっと心が掴まれて釘付けになる。逆に言えば、「疑いようもない幸せ」のようなものはなかなか受け入れられない。まばゆいほどの光に対しての、ほんの一筋の影のようなものを私は信用しているし、いつも探しているし、表現してみたい。

この考えは言語化こそ最近の話だが、常に通底していたものなので、お陰様で趣味や好みが時によって大幅にぶれることはない。私は短調の曲が好きだし、ハネケの映画を繰り返し観るし、倉橋由美子の小説をとりあえず人に勧めるし、学生サークルを見るとイラつくし、LINEで絵文字を使う男性が苦手だし、ジャパレゲ(死語か?)を聴くとアホみたいに疲れる。だから、BLについても選り好みをしてきたし、特に商業BLについては本当にごく一部しか見ない。好きな作家やカップリングについては思い出す度に細々とチェックしてきてはいたものの、最近に至っては仕事をするようになって自分も疲れたのか、BLという根底にあるシステムの限界を感じ始めかけている。

数少ない私の手元にある商業BLのなかで永井三郎氏の「スメルズライクグリーンスピリット」という作品がある。そこのラストにて、あるキャラクターがゲイの主人公に対して「俺さ…これからも…お前のこと…考えていきたい」と言うシーンがある(このセリフにたどり着くまでのプロセス含め、私はここを読んだ時に心が決壊して床でのたうち回った)。私の今のBLに対する気構えは正にこんな感じだ。システムに限界とか御託を並べたくなる一方で、それでもやっぱりこれからもお前のこと考えていきたい。

 

先日飲みに行っていて、そのまま友人宅に泊まらせてもらう流れとなった。しかし、私ひとりが一向に眠れず、勝手にその家のNetflixを起動して「テニスの王子様」のアニメを明け方までずっと視聴していた。まずは一番好きな第27話「カルピンの冒険」を観て(久しぶりに観たのにセリフをほとんど全部覚えていた)、その次は関東大会決勝の桃城・海堂vs丸井・ジャッカル戦を観た。この話はもちろん丸井くん目当てで選んだのだが、桃城と海堂ってこんな濃密な関係だったっけ?と何故かそちらが気になってしまった。気合いを入れるためにお互いの頬を殴り合ったり、ブーメランスネイクを攻略されてフリーズしてしまった海堂を「(お前が一番辛いよな、海堂…)」とか言いながら身を挺してカバーする桃城がいたり。うーん、めっちゃBLっぽいやんけ。でも申し訳ないが、そこには底抜けの暑苦しさと努力の色が見えるので全く好みのBLではない。一応まだ少しは私も鼻がきくようだ。

アニメの丸井くんは自分が妙技を繰り出す時以外は、相手がどんな振る舞いをしていようと終始興味がなさそうな様子だった。そうそう、彼のこういうところがめちゃくちゃ好きなんだよ私はー…。とか書いていたら夜も更けてしまった。肝心の自分の小説は、明日から取りかかるとする。